2人きりの soirée


映画「マチネの終わりに」を観ました。

平野啓一郎さんの原作小説が話題になった際に、
ストーリーに惹かれて本を購入したものの、普段殆ど
読書をしない私には、少々硬い文章に感じられて…。
蒔野と洋子の初めての出会いまでしか読み進められず。
これは映画を先に観よう!と思い、脚を運びました。


クラシックギターのコンサートって、あんな風なんだ。
舞台の上に、たった1人で、ギター1台が奏でる空間。

たとえばそれは、ピアニストでも同じことだけれど、
ギターの見た目が舞台を締める割合が小さいから?
より孤独に見えるというか、もの凄い緊張感の中で
板の上に立っているのだな、というのが伝わって。

ギタリストってあまり意識したことがなかったけれど、
そういや昔、木村大さんやA.Yorkさんを良く聴いた。
劇中演奏の福田進一さんのギターの音色も美しかった。
(素敵すぎて自分もギターを習いはじめた、
 という石田ゆり子さんも素敵だ…!)

蒔野という男性を成り立たせる福山雅治さんよ…!
「あなたが死ぬなら、僕も死ぬ。」とか言っちゃう
妙齢(?)男性ですよ、引いちゃいませんか、正直。
返事が来ないメールに何度も追いメールするのも。
恋愛の駆け引きに慣れていなさすぎ~不器用かて~
好意は嬉しいけどちょっと怖いよ〜。

けど、会えない分だけ、脳内で相手への気持ちが
育っていくこと、あるよねぇ。わかるなぁ。
勝手にどんどん一人で盛り上がっていくんだよね。
(それは誰の話じゃ)

洋子は洋子で、蒔野に振られた(れてないけど)あと
リチャードの元へ行くの!?え、行っちゃうの!?
いやその前に、20年来の付き合いである彼を捨て、
蒔野を選んだ理由とは?迫られたときはきっぱりと
断っていた(引いてすらいた)のに、決め手は…?
洋子の友達をギターで癒したところ?(早くね?)
ま、理屈じゃないんでしょうけどね、雰囲気とか。

私だったら、リチャードの元へは行けないなぁ。
リチャードを二度傷つけるような気がして…。
受け入れてもらい、結婚もし、子供も授かるが
リチャードが「憎い」というのも分かる。
だからといって浮気の理由にはならないけど!

そして早苗!元凶は!あなた!!!!
私はこの展開を知ってしまったあとで
果たして原作を読めるのだろうか…。

彼女が仕掛けた罠の独白まで気が気でなくて。
ちゃっかり蒔野と結婚してるし、子供もいて、
おまけに垢抜けて綺麗になってやんの!(笑)
そこまでしておいて白状するの…
しかも敢えてそのタイミングで…
"蒔野のため" と言っていたけど、そうなのかな?
自分も黙っていることがずっと辛かったのでは。

「好きにしていいよ」って、なにそれ案件。
洋子と再会して焼け木杭に火つけていいよ、
最終離婚してもいいよ、みたいなこと…?お…?
けしからーん!と、なんか腑に落ちなかったけど、
それでも、最後のそのシーンは泣いてしまった。
演じられた桜井ユキさん、素晴らしかった…!

正直、みんな、どうよ!
しっかりしてよ、大人!と思いもつつ。
けど、とにかく「美しかった」から良いのです!(笑)
フランスの景色、蒔野のコンサートに向かう洋子の姿、
キスシーン(福山さんはめっちゃはむはむしてたし、
石田さんも瞬く間に女の顔…色香が素晴らしかった)
なんと言っても、ギターの音色。
これは映画館で聴くのが良いと心底思った!
途中でこの映像美はもしや?と思ったら、西谷弘監督。
「走ると幸せが逃げる」ジンクスを守っていた洋子が
ラストで走ってコンサートに向かった心情の変化や、
蒔野さんが本当に「舞台からお誘い」できたところ。
「過去は未来によって変えられる」というテーマに沿う
演出がとっても素敵でした。サントラ買いました。

この季節にピッタリな映画。
もう一度観に行きたいなぁ。

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